砂漠の薔薇 (幻冬舎文庫)

砂漠の薔薇 (幻冬舎文庫)

1999年に東京の音羽の方で起きたお受験殺人をモデルにした小説です。
でも、小説に出てくる加害者「のぶこ」はかなりお受験にのめりこんでいるのに対して、実際の事件の加害者は、受験はしたものの、それほど熱を入れていた様子ではなかったらしいので、この小説がノンフィクションではないみたいです。

私自身、「お受験」とは、かけ離れたところにいるので、実際にお受験しておられる方たちがこんな感じなのかは、よくわかりません。
加害者「のぶこ」の、小さい頃から仲良くしていた、「十和子」に対する気持ち。
十和子は、いつも複数の取り巻きに囲まれているような人気者で、顔も可愛くて、勉強もよくでき、明るく快活な性格でみなに好かれていた。結婚相手も、大手弁護士事務所を経営する弁護士。一方、ノブ子は、いつも一人で過ごすような性格だった。
羨望というか、まぶしい太陽が傍にいるような気持ち。自分は、十和子の影。

本当にどこを探しても欠点のないような女性って、本当にいます。
そして、その女性と仲良くなる。というのは、コンプレックスの塊のような人からすれば、かなりの根性がいることだと思います。

私自身、そんな女性は、とてもうらやましくて、もちろん好きなんだけれど、ずっと一緒にいたいとは、思いません。しんどくなるような気がします。

ノブ子は、逃げられなかった。十和子の子供を殺してしまうのは、勿論絶対に許せないことですが、(小説です)心情の描写の部分は、なんとも言えない感じがあります。

誰かに相談するという、選択肢はなかったんだろうか。